なんともはずかしい時代

lo-tus2006-10-02


三丁目の夕日」が昭和33年(東京タワー完成の年)にワープできる映画ならば、この映画「1980(いちきゅうはちまる)」は文字通り1980年にワープできる映画です。1980年といえば、日本全国テクノ現象の年。(ジョン・レノンが亡くなった年でもあります。)
映画「1980」を見てしまいました。監督は元・バンド「有頂天」のケラリーノ・サンドロヴィッチ。テクノ、ニュー・ウェイブサブカル、アイドル etc. 80年代を愛する監督が、あの時代へ送るオマージュのような映画です。中身はすごくくだらない、だけどちょっとせつないC級コメディーで、あの時代を知っている人なら間違いなく笑えます。知らない人でも、これまた間違いなく笑えます。あの頃の若者の生態を描いたドタバタ劇で。映画の出来も大したことないけど、監督は「大した映画」を作りたいわけじゃなくて、ただ1980年に対する執着だけがエネルギーのような気が・・・
出演は、ともさかりえ(堕ちたアイドル)、及川光博(浮気な演歌歌手)ほか、クセモノばかり。チョイ役で忌野清志郎鈴木慶一伊武雅刀なんていう人も出てきてニンマリという感じ。
例えばこんなシーンがあります。ライブハウスでパンクバンドの演奏を聴くシーン。ぶっ壊れた感じの曲に、ファンの若者が座ったまま体は動かないんだけど、首から上が激しくノリノリなんですよね。そうそう、このノリ方「ブレーキ踏みながらアクセルふかす感じ」がいかにも80's!ここは素晴らしかった。
時代考証のこだわりも相当なもんで、初代ウォークマンやごっつい留守番電話、スライム、なめ猫ルービックキューブという小道具もふんだんに。高校生男子はテクノカット、女子はもちろん聖子ちゃんカットで。そして映画音楽は、主にプラスチックスYMOでした。
しかしまあ80年代って、どうしてこんなにはずかしいんでしょうね?60's、70'sまではいま見るとカッコいいのにな。80'sはやはり異様ですね。軽薄で、プラスティックで、浮いてて、ヘンテコで、「ほとんど病気」で・・・。こんな80年代でも、いつかカッコイイと言われる時代が来るのでしょうか?いや、永遠に来ないかも知れない。でも嫌いになれない80's。笑って許してあげたい80's。なんたって、僕も多感な頃を過ごしてましたからね・・・。