(10)法然院はエアポケット

お寺に行くと、文化財に触るなとか、仏像の写真を撮るなとか、拝観禁止とかって、有名寺院になるほど制約が多いんだけれど、あまりケチなことを言われると、ゲンナリする。落書きやイタズラをするヤツが多いのも分かるけど。本来お寺は誰にでも開かれた場所であるはず。老若男女、どんな過去を持った人でもウェルカムな、俗世を超えたエアポケットであってほしいのだ。
その点、法然院は面白い。とても歴史のあるシブーいお寺なのに、時折さまざまなイベント会場に変身する。演劇、民族音楽エレクトロニカ、チルアウト、モダンアート、etc。「陰翳礼賛」的なお堂や苔むした庭が、ハイテクヒッピーたちであふれかえるのだ。しかもぜんぜんミスマッチな感じがしないところがスゴイ!それは、法然院の日本的な造形が、モダンアートを飲み込むぐらいカッコいいからだと思う。ちょっと異質なモノを置いたぐらいでは、揺るがないような美意識というか・・・。古くても新しくても、良いモノは良い。そして良いモノは長生き。
昔の人々が信仰のためにお寺に集まったのと、今こうしてアートを見に大勢が集まるのと、実は感覚的にそれほどかけ離れてはいないのかも、と思った。お互い「何か信じられるもの」が見たいだけ・・・。
で、今ちょうど『√Roots」という企画展をやってたので見てきた。

*垂れ下がっているのは赤いLANケーブルの組み紐。

*お堂の中は別世界。

*これは「阿弥陀如来になれる鏡」。鏡の前に立つと、映った自分に後光がついているように見える??

法然院の庭。今日は砂の上にどんな絵が描かれているのかと、毎度楽しみになる。

*苔の海。