Jackie Brown

lo-tus2009-06-04

「オレのベストムービーだから見てくれ」と、知人から渡されたDVDがこれ、タランティーノの『Jackie Brown』でした。ちなみにこの映画は、Amazonの解説によると「70年代に伝説の映画と称された『コフィー』などの黒人アクション映画のヒロイン、パム・グリアー。彼女のファンだったタランティーノが、グリアーのためにエルモア・レナードの原作『ラムパンチ』を脚色。さらに主演の座に迎えて製作したハードボイルドドラマである 」。つまりタランティーノ風70'sブラックムービー。
期待しながらディスクを再生して間もなく、「アッ!」と気がつきました。そのDVDは日本製ではなく、したがって日本語字幕がない・・・ということに。英語、スペイン語の字幕は表示できました。
「学校卒業程度の英語力しかない僕に果たしてこの映画が、しかも複雑な黒人闇社会の人間模様が理解できるのか??」
不安になりながらも「否、映画は理屈ではない、イマジネーションで観るもんさ」と精一杯前向きに自分を励まし、せっかくなのでそのまま見続けることに。どうせ分からないのなら、そのついでに、さらに分からないスペイン語字幕にしてやろうという気にさえなりました。もっとも海外へ旅した時など、現地の映画館で字幕もないまま見るケースもあったし、それはそれで楽しい観賞方法ですし・・・。
細かい人物関係や、背景、言葉の機微など、やはり字幕がないせいで見落としている部分は多いと思います。しかしその分、映像と、名優たちの言葉の響きの心地よさ、それからクールな音楽に耳をそばだてることができました(全編70年代のソウルが使われていてカッコよかった)。
日頃、人物関係があまりに複雑で、途中ではぐれてしまう映画ってありますけど、言葉の壁によって最初からはぐれてしまえば、かえって楽なものですね。
結局、今『Jackie Brown』のストーリーを説明してくださいといわれても、できないんですけれど、それでも映像から伝わってくるものはとても強かったので「面白い映画を観た」とだけは言うことはできます。特にラストシーンなどは、ジワジワと哀愁が漂い、まったく言葉を無視しても、映像だけで十分に成り立っていた世界だと思います。むしろ言葉で説明しなければならないようなラストシーンならば、そりゃ映画として失敗というものでしょう。
今度見る時は日本語字幕バージョンで見てみたいと思います。俳優の言葉の意味、映画のストーリーが明らかになったとき、今回の自分の勝手な解釈が、いかに間違っていたかが判明して愕然とするかも・・・です。また逆に、大好きで今までに何度も見ている映画を、今度は「字幕無し」で見たくなってきました。