フェデリコな人々
フェデリコ・フェリーニ監督が亡くなったときのことは覚えてて、確か国葬をやったような記憶がある。イタリアって大した国だなあと思った。
監督は亡くなっても映画は不滅。数々のフェリーニマジックを目撃してきた中で、ジュリエッタ・マシーナのうらぶれギリギリの可憐さや、マストロヤンニの二枚目ダメ男ぶりなど、主演クラスは本当に素晴らしいけど、それと同じぐらい、その都度登場する脇役たちがまたサイコーなのだ。何やらあやしげなオーラをプンプン放つ奇人達のオンパレード。スクリーンの中に彼らがいるだけで、そこはポッカリ開いた、ねじれた世界への入口になる。
*頽廃家族の肖像
*ささやくときは唇は見せない
*「うわー、見てしまった!」
*あご、はずせる?
当然、そういう脇役たちに、いわゆる「普通の市民」は登場しない。「道徳」という言葉が最も似合わない人たち。また、どこでどうやって生活しているのか全く謎な人たち。パーティーや酒場が大好きで、乱痴気騒ぎがもっと大好き。しかも盛り上がっている最中に突然、謎めいた意味深言葉を耳元でささやかれたら…「マルチェロ、私と結婚しない?」。甘い生活、気怠い誘惑。多分あの人たちはAnother Worldと対話してると見てまちがいない。
映画を見るたびに、自分も一度あんなオモシロイ人たちに囲まれて、場末の酒場で飲んでみたいもんだと激しく思うし、いつかそれぞれの脇役たちを主役にした映画だって見てみたいなどと、妄想の枝葉があちこち広がるのだ。
*夢の中でお会いしましょう
*私は嘘をついたことがないという嘘
*そして船は沈む
*イタリア風秘宝館。能面から舌?マルチェロうれしそう