観音ジャングル

秘境・奥びわ湖に観音の里は実在した!
なんだか川口探検隊みたいなキャッチコピーになりましたが、いやホントにすごいんです。

春なので、先日、奥びわ湖(びわ湖の北のほう)へドライブへ行ってきました。今回の目的の一つは、見仏ツアー。向源寺というお寺にある国宝・十一面観音立像を見ることにありました。以前写真で見てその姿に魅かれ、一度ナマで見てみたいと常々思っていたのです。そのへん、レコード聴いてコンサートへ行きたいと思う感覚に似ています。つまり仏像≒ロック・スター。どちらもカリスマ性の勝負です。
で、今回対面が叶って感激。狭くて観光客も少ないお堂に座り、地元のボランティアらしきお爺さんが丁寧に解説してくれてホッコリ。やっぱり田舎は時間の流れ方が違う。
この観音様、流石に素晴らしいシルエットをしてはります。頭に十一の顔を持つ異形にもかかわらず、表情の穏やかさ、大きなピアス、少しカーブを描く腰のエロティックな線、そして壺を持った手の気品…。その対比がいいですね。良いブツはいつも、全体のバランスがパーフェクトです。

それと今回驚いたことがもう一つあって、この国宝観音を筆頭に、周辺一帯(高月町木之本町余呉町)は観音像を所蔵するお寺が沢山集まる、なんと“観音ジャングル”だったのです。十一面観音、千手観音、馬頭観音などなど、その数60体を超えるとか。いやー、ビックリ。
仏像界の銀座とでも言いたくなる過密ぶりには何かウラがある…、と思って調べてみました。このあたり、東にそびえる己高山が近江国の鬼門(東北の方角)に当たり、古くからの霊場だとか。そこに仏教文化が栄え、さらに北から北陸白山の観音信仰、南から比叡山天台密教と、いろんな勢力のミクスチャーがあって、ここ独自の観音信仰が育まれたとのことです。なるほど、お寺や町全体の雰囲気に、正統派仏教とは違う、すごく土着の臭いのする“コク”を感じたのはそのせいでした。なんとなくコッテリ泥臭くて、混沌とした感じ。(分かってもらえるかな?このニュアンス)今回時間がなくて、他のブツを見ることができなかったので、いつかゆっくり彷徨ってみたいと思ってます。要注意エリアです。

*観音像が並ぶパンフがなかなかのカワイさ。100円にて。

「観音」・・・“音を観る”って、なんだかシュール。絶対音感を持つ人があらゆる音を音符に置き換えてしまう感覚を思い出しました。
それじゃあ観音様はどんな音を観ている?それはきっと人間の「本音」でしょう。観音様の前ではウソがつけないな〜、なんてね。

*頭の後ろにはこんな笑顔が!