(12)現世と来世の帰省ラッシュ

lo-tus2006-08-09


今年もお盆が近づいてきましたが、お盆休みということで故郷へ帰省される方も多いことでしょう。しかしこれは現世に限ったことではありません。この時期来世から、ご先祖様たちだってお盆を故郷で過ごそうと続々と帰ってくるんだよと、小さい頃から聞かされてます。京都のお寺などではお盆の行事がたくさんあって、変な言い方ですけど、あの世もこの世もみんないっしょに盛り上がってます!今、京都が熱い。
数あるお盆行事の中でもおもしろいのが、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)の「六道まいり」。仕事帰りにちょっとのぞいてきました。このあたりは昔から「六道の辻」と言われ、あの世とこの世の境界と考えられていました。京都でも屈指のサイキック・スポット。また平安時代のオカルト役人・小野篁(おののたかむら)ゆかりの寺としても知られています。彼は昼間は真面目に働きながらも、夜は冥界で閻魔大王に仕えたという伝説があります。昼と夜、別の顔を使い分ける男。こんな妖しげな役人がいていいんでしょうか!?(もっとも現代のお役人さんも、ある意味妖怪みたいに妖しいですけど)
小野篁像。取り巻きもすごいぞ。

それはさておき、お寺の境内には冥界まで響き精霊を呼ぶ「迎え鐘」があって、8月7日から10日までの「六道まいり」の期間中、鐘を鳴らしにお参りに来る人で賑わいます。この「迎え鐘」がなんとも不気味な姿。鐘楼がふさがっていて、鐘の姿は見えず、壁から紐が一本出ているのみ。中を覗いてみたいという欲求と、恐ろしさが交錯する中、ワクワク順番を待ちます。みんな縄を握ることによって冥界にアクセス、引っ張ると鐘の音がして精霊を「こっち側」に呼び戻します。
むむ、この行為は…なんだかクリック一つでデータをダウンロードできるサイバー空間みたいではないか!?昔の人は鐘を鳴らして(クリックして)ご先祖様の精霊をダウンロードしていたのか!?
*ご先祖様をダウンロード?

期間中は夜のお参りをおすすめします。ロウソクの炎に映るディープ京都、こってり濃密な空気が満ちています。
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おどろおどろしい雰囲気の寺を出ると、すぐ隣に「ハッピー六原」という、なんともお気楽なネーミングのショッピングゾーンが・・・。いいですね、この脱力感。「六道まいり」から一気に俗世間へ。やっぱり「あの世とこの世の境界」でした。ハッピーめでたし。
*昼間のハッピー六原。あの六波羅蜜寺もすぐ近く。