(16)銀河の庭

lo-tus2006-11-30


木の葉が落ちる、木の葉が落ちる、まるで遠くから降るかのように、
大空で、いくつものはるかな庭が枯れたかのように。
木の葉が落ちる、否定の身ぶりでひるがえり落ちる。
                       〜R. M. Rilkes〜

色づいたイチョウを見ると、どういうわけか宇宙を思い出す。銀杏(いちょう)と銀河、お互い銀のバリエーションと思い込んでいる。
少し時間があったので、久しぶりに京都御所へ。実は10年前はこの近くに住んでいたので、毎日自転車で京都御所を横切っていた。狭い京都の街に、こんな広い森はありがたいと思う。この中に入ると、周囲の市街とは空気がちがう。毎日通ってた頃は、季節の変化に敏感になった。
その京都御所の秋で、一番楽しみなのがイチョウの木。北側の今出川通りに近いエリアには、イチョウの大木が何本かあって、葉を落とすと、そこはもう別世界になる。無数の落葉が木を中心に円形に降り積もると、ちょうど銀河系の天体写真のように見えてとても美しい。

その、地上の銀河の中には、代わる代わる人がやってくる。動物もやってくる。子供が鬼ごっこをしたり、犬が走り回ったり、愛を語るカップルがいたり、写真を撮る老夫婦がいたり、ギンナンを拾うおばさんがいたり・・・。みんな現れては消えていく。いつもと同じ銀河の営み。
両手いっぱいに落ち葉を抱え、パッと空に放り投げてみる。
「否定の身ぶり」で落ちたとしても、ひるがえって裏、表・・・。
「Non」と「Oui」がクルクル回りながら・・・、秋は急ぎ足で終わっていく。
  NOV. 30, 2006