道の駅でマッタリ

車で遠出すると、ちょっと休憩に寄るのが道の駅。道の駅にもいろいろあって、最近は内装をオシャレにしたり、こだわりグルメを開発したり、温泉を併設したり・・・、特に都市近郊のコギレイな道の駅はがんばってる感じがします。しかしです。個人的にはそういう最新の道の駅よりも、田舎の山の中で、なんにもなくて、土着色の濃いところのほうが好みです。道の駅たるもの、オシャレ感や高級感、西洋文化の香りなんて求めちゃいけません。その土地の個性を発揮していただき、地元パワーだけで押しきってほしい。

そこで先日、理想的な道の駅を見つけました。写真は滋賀県の山間、土山です。お弁当、軽食、お餅、野菜、花、土産物・・・、みんな素朴で、その辺の家で作ったものを持ち寄ったかのような飾り気のなさが新鮮でした。普段、都会で買い物をする時は、その「モノ」ではなくて、派手なラベルを見せられているんだと気付きます。*1その点、ここにあるものたちにはラベルがない。つまり、押しつけがましい主張がない。ただ透明なビニールの袋に入れられて、中身で堂々と勝負しているではありませんか。特に食べものが妙に美味しそうに見える。もう気分は“うっかり八兵衛”です。*2
土山は、お茶の産地なので、期待に違わず茶摘み娘の顔だしコーナーもありました。これがまたごく自然に、周囲に溶け込んでいます。また古典か民謡かよく分かりませんが、地元のことを謡った詩も飾られていて旅情をかき立てます。そしてトドメはBGM。有線放送か、ずっと70年代の歌謡曲が流れっぱなし。こんなところで小洒落たジャズが流れていてはおかしいし、ライ・クーダーパリ・テキサス」のようないかにもロードムービー的な音楽でも狙いすぎ。それよりも中原理恵「東京ららばい」に、なんだかグッときました。遠く異郷に旅をして、タイムスリップしたかのような歌を聴く。古い歌謡曲は、田舎のコミュニケーションスペースにおけるラウンジ・ミュージックと言って良かろうかと思います。*3ここはどこなのか?今が何時なのか?どうでもよくなってくる。マッタリした空気が流れ出しました。

《まとめ》
「道の駅」がおもしろいのは、地元のモノで固められた閉鎖性と、たくさんの「よそ者」が行き交う開放性が入り交じっているから。実はすごく特異なスポットではないかと・・・。いろんな空気がぶつかる場所として。

*1:このラベルがクセモノで、いろいろ余計な「イメージ」が刷り込まれている。

*2:「ご隠居、ちょっと団子でも食べていきましょうよ〜!」と、道草に誘うのはヤツの常套手段ですが、地元のものを思わず食べたくなる気持ち、なんとなく分かります。あ、僕は普段はそういうキャラじゃないですよ、念のため。

*3:道の駅のほか、ローカル線の駅前喫茶店などでも事情は同じ。