台風日記

lo-tus2007-07-15


今日台風さえ来ていなければ、今夜あたり祇園祭をひやかして、ビール片手に夕涼みしているはずだったのに。今年はお祭りと台風が正面衝突した特別な夏の始まりになった。

台風の雨は、普段の雨と音が違う。南の国の音がする。家でテレビを見ていると、九州や四国の街や海の様子がリレー中継されている。鹿児島、室戸岬南紀白浜・・・。不謹慎かもしれないが、紀行番組のようだ。嵐は本来怖いものだけれど、テレビの向こうの大雨は、どういうわけか飽きずに眺めてしまう。
実際に家の窓の外の大雨を眺めて「うわー、降ってるなぁ〜」。静かな場所から荒れ模様の別世界を眺めるという、この落差を味わいたいのだろう。やっぱり不謹慎だけれど、抗い難い。

地方局の若いアナウンサーが傘の骨を折りながら、「危険ですので外出には十分にお気をつけください!」と叫ぶ。一番危険にさらされているのはこの人だ。待っている家族がいるはずなので、早く仕事を終えて帰ってやってください。

日本では台風に対して○号という風に数字が割当てられるが、アメリカのハリケーンの場合、女性の名前が印象深い。Katrina、Rita、janet・・・。実は男女の名前が交互に割り振られているらしいが、ずっと以前は女性の名前だけだったとか。調べてみると、第二次大戦中に当局のスタッフが、非公式にガールフレンドや奥さんの名前をハリケーンに付けていた事から始まっているとのことだ。その人達は、よっぽど女性関係でひどい目にあったのかもしれない。身も心もズタズタになるような嵐の直撃。そんな気持ち、僕には分からない・・・でもない?

日付が変わって、風が強くなってきた。ザーッという風の音がさっきからドローン状態だ。いよいよ、か。今夜が最接近。眠って目覚める頃には彼女はベッドを抜け出し、この街に別れを告げ、遠く東へ旅していることだろう。