スキマ・サイン

lo-tus2007-08-06

車で山道を走っていると「動物の飛び出し注意」や「落石注意」を促す、例の黄色い標識をよく見かけます。しかしながらこの二つは、いくら注意したところで避けるのが難しいと思いませんか?
動物はすごいスピード&瞬発力で飛び出してくるわけだし、特に山の動物などは夜行性で、夜道で彼らの気配を感じ一瞬のうちに避けるのは、こちらにも動物的な勘が要求されます。PKに向かうゴールキーパーの100倍ぐらいの集中力がいると思う。
また落石については、これ、頭上の状況を把握するなんて無理でしょ?ジェームス・ボンド仕様の超高性能車か、少なくともオープンカーに乗っていない限り、危険が迫っても見えないもん。第一運転中は、前方の様子を注意深く見極めるように教習所で教わりました。頭上ばかり気にしていると前方が不注意になってしまい、かえって脱輪や衝突などのリスクがぐっと上がり、そっちのほうが心配で仕方ないですよね。
それじゃあ、そんな意味のない標識なら立てるだけ無駄じゃないか?と思われるかもしれませんが(ここからは僕の深読みになりますが)、この標識の言わんとすることは「もし事故ったらゴメンナサイ。あなたは運が悪かっただけですよ」。つまり50%は慰め、あとの50%は言い訳です。

それから道路標識ではありませんが、「赤ちゃんが乗っています」とか「犬が乗っています(Dog in Car)」というステッカーを貼っている車をよく見かけます。あれはどう解釈すればいいのでしょうか?
最初は何か注意を促しているのかと思っていました。例えば「車間距離を詰めないでくださいよ」とか「無理な追い越しで恐がらせないでくださいよ」とか・・・。でもよく考えてみれば、そういう注意は、赤ちゃんや犬が乗っていなくてもドライバーの常識だしね。
初心者の若葉マークは意味が分かります。でもこれらのステッカーは必要性がとっても曖昧。だから結局のところ、自分の赤ちゃんや犬が「ほら、とってもかわいいでしょ?ぜひ見てくださいね」っていう自慢なのかな?と思います。またこれを貼ることによって、その車や、そういう車に乗る自分だってかわいいでしょ?という自己アピール。そう、事故じゃなくて自己ね。(「え?どれぐらいかわいいの??」と思ってチラッと隣の車の車窓を見たとき、赤ちゃんも犬も乗ってなくて、ガッカリすることもしばしば。)

そういうナンセンスなサインの数々は、実用的な意味はないけれど、なんとなく心のすき間を埋めてくれる。「スキマ・サイン」とでも名づけましょうか?なかなか見ていて楽しいです。自分では貼りませんけど。