Sketch of Ehime(2)内子

lo-tus2007-09-13


昔、友達がこんなことを言ってました。愛媛県の人は、フランス語を勉強する時に「こんにちは」を「ポンジュース(≒ボンジュール)」と覚えるらしいよ・・・と。その時僕は迂闊にも、一瞬信じかけたのでした。
えーっ、余談はさておき、愛媛ツアー2回目。

内子町(うちこちょう)
松山から少し南へ。山間にある内子町は、木蝋生産などで昔栄えた町だそうで、伝統的な町並みが保存されています。今は賑やかだった頃の面影が残るだけ。静かなもんです。地味だけど、いい街です。ひと通り歩いてみたら、おもしろい建物にたくさん出会いました。

これは50年前の活動写真館(つまり映画館)。保存・管理されている様子もなく、荒れて廃虚のようでした。夢々しい不思議な形。でもどうしてこの建物が取り壊されず、ここにあるのか?ということのほうがもっと不思議。田舎の住宅街の中に突然あるんですからびっくりします。そして何だか、少し悲しくなります。

こちらは木造の劇場「内子座」。現役で使われていて、歌舞伎の公演もあります。中を見学するとミシミシと音が。こんな劇場では、○○一座というような、さすらいの旅役者でも見てみたい。

意外と(と言っては失礼かもしれませんが)、個人的に一番ウケたのがここ。「商いと暮らし博物館」。リアルな人形を使って再現した大正期の薬屋さんの家。
それだけなら、よくある民俗資料館といったところですが、問題はその人形たち。なんと、近づくとしゃべります!センサーが反応して、家族や丁稚さんが、それぞれ独白を始めるんです。店先では「おいでなはい」と丁寧に建物の概要を説明してくれたり、家の中では家族で膳を囲んで「ちゃんと食べなきゃいけませんよ」などと親子の対話。炊事場ではお母さんが愚痴をこぼし、勉強部屋では受験勉強にいそしむお兄ちゃんが、「大変だけどがんばるぞ!」的なことを地元の方言でしゃべったりする。特にドラマチックなセリフをしゃべるわけではないのに、絵に描いたようなホームドラマ的展開がだんだんクセになります。ついつい聞き入ってしまい、また次のキャラクターが気になり、片っ端から人形に近づきたくなるのでした。
こちらはご隠居。囲碁に熱中していると見せかけて、なんと、碁盤には「内子」の文字が!シブイぜ、ご隠居。シャベリはしませんでしたが、確かにこの老人は郷土への愛を語っていました。ベタな演出だけど許してしまう・・・。