(24)京都駅に行っチャオ

lo-tus2007-09-26


最近、京都駅に映画館が出現しました。京都駅ビル誕生10周年ということでいろんなイベントが開かれていて、その一環として「駅ビルシネマ イタリア映画祭」のために作られたミニシアター。10周年とイタリアがどういう関係があるのかは知りませんけれど、新旧のスゴイ映画が来ているのですからそんな関連性などどうでもいいこと。先日、平日に休みが取れたので、ちょっと行ってきました。
見たい映画がたくさんあった中、なんとなく気分的にビスコンティ「山猫(イタリア語完全復元版)」を見ることに。だって平日の昼下がりですよ。こんな時にシチリアの斜陽貴族の話を見るなんて・・・、家のテレビで昼メロを見るのに匹敵するぐらい、非日常的世界が味わえるのではないかと期待してのこと。
行ってみると、観客は往年の映画ファンか?年配の方が目立ちました。普段行く映画館と、なんだか客層が違う。アラン・ドロンの出演する映画を観たのも久しぶりですが、あの人の顔、やはり反則ですね。他の男優と比べて明らかに造りが違う。スクリーンの中での映え方が違う。それにも増して良かったのは主演のバート・ランカスター。過去の人になりつつある老公爵役で、思わずひざまずきたくなるぐらいダンディーでした。
3時間じっくり、ゴージャスな映画を味わいすっかり満腹。ビスコンティは、本当に貴族階級出身の監督。やはり「違いの分かる男」でした。おそらく、古いワインの色を見るだけで泣いちゃうような人なんだろうな・・・。
映画の後は少し歩きたくて、駅ビル最上階の「空中経路」へ。ここに来るのも実に久しぶり。京都に住んでいると、わざわざ京都駅の最上階にくることって、滅多にないものです。ホテルグランヴィアの屋上部分から、この空中経路にかけてのコースは結構穴場。オープン当初こそ人で賑わっていたものの、10年経った今は人は少ないし眺めはいいし、向いの京都タワーと対等の高さに立つことができるし・・・。案外のんびりできる憩いの場に落ち着いていました。

「あれから10年か・・・。何してたっけ?」

完成当時はいろいろと景観論争を呼んでいましたが、鉄骨とガラスでできた巨大なモンスターみたいな京都駅は、僕にとっては最初から「悪くない」建物でした。下の京都駅の喧騒(移動する力)と上の空中経路の静けさ(浮遊する力)が奇妙に共存しています。外見も中身も、とにかく変わった建物です。
こんな京都の玄関口にありながら、せわしなく通り過ぎるだけの旅人は、多分この最上階の真空地帯に気付かない。僕はまた、時々暇つぶしに来ます。