かたがき

lo-tus2007-10-12


京都出身のマリンバ奏者・通崎睦美さんは、ほかにもエッセイスト、アンティークきものコレクターなどという肩書きを持ち、マルチな活躍をしていらっしゃっる方。また、きもの姿に自転車というスタイルで京都を駆け回る、とてもチャーミングな方です。最近は新聞にも文章を連載されていて、僕も楽しく拝読しているのですが、その中でこんなことをおっしゃてました。
自身の肩書きについて「マリンバ奏者」というのは、木琴も弾くようになったで(両者はちがう楽器)肩書きに迷うことがある。また「アンティークきものコレクター」についても、集めることではなくて実際に着ることが目的なので、コレクターと言われるとちょっと違うなと・・・。
このお話し、なんだか分かります。人の肩書きって難しいですね。我が身を考えた場合も、一言では言い表せないので、時と場合に応じて使い分けることにしています。ある時は「エディターです」と言ってみたり、ある時は「ライターです」で通したり、別の場所では「プランナー」になってみたり。その仕事に対する関わり方に一番近いものを選んで、適当に自己紹介することになります。そうでも言わないと相手が安心しないからね。でも実は「自分は○○です」と名乗ることに、とても違和感を感じてしまいます。確かにそういう職業はやってるけど、自分という人と「=(イコール)」でつながれると、違うような気がする。それを名乗ることによって、自分の行動範囲が限定されて、思考の自由度が奪われるような気がするから・・・。
職業名を名乗るのはまだいいほうかもしれません。世の中の会社という組織では、実際の仕事内容よりも部長とか課長とか、外部の人から見たらほとんど意味不明の肩書き=役職名に変にこだわるような、僕には到底理解できない人種の方がたくさんいらっしゃいますからね。「課長」といっても、その課の長の役割を本当に果たしているのか?なぜ一つの課に課長が何人もいるのか?組織が大きくなればなるだけ不思議だらけ。奇怪な肩書きのオンパレードです。
確か寺山修司さんでしたっけ?「私の職業は“寺山修司”です」と言ったのは。彼の場合は、普通の肩書きを捨て去ってしまったのは潔いと思いますが、その代わりに「寺山修司」という役割を徹底的に演じなくてはならなくなったわけだから、それも疲れそう。
今、仕事では、ごく普通の肩書きの付き名刺を使っていますが満足できないので、今度作る時は、オモテ面は名前のみ、ウラ面はいろんな職業名やら趣味やら好きな言葉やら好きな食べものやらをランダムに書き並べたスペシャル名刺を作ろうかしら・・・と思ったのですが「ふざけないでください」と怒られ、仕事に支障をきたしそうなので、やっぱりやめておきます。