SWEET SURPRISE

lo-tus2007-10-07


前に北欧デザインについて書いたが、偶然にも最近一番気に入っているレコードがやっぱり北欧系。イェレーヌ・ショグレンの『SWEET SURPRISE』というスウェディッシュ・ジャズ・ヴォーカルアルバムのこと。「甘い驚き」なんてタイトルがキャッチーだし、そもそも僕は、このタイトルの曲を知っていた。
そう、「SWEET SURPRISE」といえば、ブロッサム・ディアリーのあの曲。僕も大好きな名盤『That's Just The Way I Want To Be』の中でも、とびきりSWEETなナンバーなんだけれども、イェレーヌのカバーでは甘さ少し控えめで、クールなアンニュイ感が漂い、これがまた絶品なのだ。
以前から思っていたけれど、北欧のミュージシャンのレコードは、どうしてこんなに音がいいんだろう?音がくっきりしていて清涼感があって、しかも伸びやかな音響。それは録音技術の問題ではなくて、そこに流れている空気がいいのだと思う。この『SWEET SURPRISE』は87年の録音だから、今に始まったことではなかったのだ。レコードを聴く時、楽曲の善し悪しはもちろんのこと、録音した時の雰囲気とか状況とか、周辺に流れる空気のようなものまで刻まれているのが伝わってくると本当に楽しい。逆に言えば、自分が好きになるレコードは、そういう「空気の感じ」まで録音されているものが多い。
さて、9月は暑かったおかげで、今年はストンと秋がきたような気がする。ようやく、いい季節がやって来た。待っていた。秋は空気が冴える。JAZZも冴える。イェレーヌ・ショグレンは「上手い」タイプのヴォーカリストではないけれど、風のように自由で軽やかなスキャットや、空に吸い込まれそうなバックのトランペットが、今の季節にはよく似合う。「秋のスウィート」といえば、甘いデザートを思い出すけれど、このレコードは一言付け加えて、“COOL SWEET”SURPRISEと言いたい。