白昼夢

lo-tus2007-10-15


愛犬家の方というのは多いもので、休日の京都御苑ともなるといろんな犬を連れた人がたくさんいます。犬の種類もさまざま。大きいのやら小さいのやら、賢そうなのから自由奔放なのまで・・・。
そんなふうに眺めていると前のほうから、一人の女性がやはり犬といっしょに歩いてきました。なんとなく黒っぽい中型の犬を連れていらっしゃる。だんだん近づいて、すれ違いざま「あっ」と声を出しそうになりました。当然犬と思っていたのがなんだか様子が違う。犬にしては変に背中が丸い。ネコにしては大きい。なんだろう?この見慣れないカタチは・・・?よく見ると、それはなんと・・・ラスカル。そう、アライグマ君でした。
動物園以外でアライグマを見たのは初めて。しかも他の犬達と同じスタイルで何食わぬ顔で散歩をしているではないですか。飼い主の女性も特にかわいがる様子もなく、終始無言で淡々と。
びっくりしたのと同時に、妙に可笑しかったりして、とにかく意表を突かれました。今ふり返ると、なんてことはないのですが、あの時あの場所でアライグマはちょっと・・・。そこにいるはずのないものがいる、しかも京都御苑ですから背景は純和風。シュールです。「これは夢か幻か・・・?」すれ違った後、何度も何度もふり返って、その愛らしい後ろ姿を確認してしまいました。
「あ、アライグマですか?」とかなんとか、僕も声をかければよかったと後悔してます(そんな余裕がなかったのよ)。その女性も無言。アライグマ君をはさんで、二人の間には微妙な「マ」が流れて・・・これまた思い出すだけで、気まずくも可笑しい瞬間でした。
もし名前を聞いてみて本当に「ラスカルです」なんて答えられた日には、その場で嬉しさのあまり、顔がくしゃくしゃになったことでしょう。
いやー、もう一度見たいなあ。また京都御苑に行ってみよう。しかしアライグマに対抗するには・・・、こっちもレッサーパンダを散歩させながら再会してみたいです。

ちなみにアライグマは、前足を水中に突っ込んで獲物を探る姿が手を洗っているように見えることからその名がついたということで、「きれい好きなのでちゃんと食べ物を洗う」という説はガセだそうです。