年賀状Watch

lo-tus2007-11-19


僕はあまり年賀状を積極的に増やすタイプではありません。毎年必ずくれると分かっている人に対しては先回り書くけれど、それ以外はほとんど書きません。こんな僕にでもご丁寧に、「本年もよろしくお願いします」と賀状をくださる方に対しては、つつしんでお返事を書かせていただいてますが、「いつも遅れてすみません」とこの場を借りておわびしたいぐらいです。何かメッセージを書くのは嫌いではないのに、年賀状に限ってはなんだか晴れがましくて気が進まないだけ。あの人にもこの人にも・・・と気にして増やしはじめるとキリがなく、年末の忙しい時にそういう気を使うのが億劫で・・・。
さて前置きが(というか言い訳が)長くなりました。今、世の中には、年賀状を作る時に便利な市販の年賀状ソフトが数多く出回ってます(僕は使ったことがありませんが)。先日たまたま仕事絡みで、そういうソフトを閲覧していると、実にさまざまなデザインテンプレートがぎっしり収録されているのを発見しました。そして気付きました。
普段Jacket Watchしてますと、「レコードジャケットは一つのデザインフォーマットだ!」と思うわけですが、同じことが年賀状にも言えるなと。そう、あれは独特の、一つのデザインジャンルだなと思ったわけなんです。
よく見ると、年賀状・あのハガキサイズの長方形の中には実にさまざまなテーマがカオスのように渦巻いているではありませんか?普通、広告やアートの世界ならワンデザイン=ワンテーマにするのがインパクトのあるメッセージを発信するための定石。しかし年賀状に限ってはそんなルールなどまったくお構いなしの世界なんです。そこらの前衛アートよりもよっぽど自由度は高い???
例えば右上のハガキを見てください。これもテンプレートの一例。よく見るといろんな要素がてんこ盛りでしょ?「迎春」という祝賀コンセプトを基本にしつつも、「子どもも大きくなりましたやろ」という近況報告&「ワンちゃんかわいい!」というペット自慢のフォトメッセージが融合。来年が戌年ならば、犬を主役にできるでしょうが、おっと干支はネズミでした。年賀状に干支は付き物なので、あまり意味はないけど犬の隣に並べちゃおう・・・イラストはちょっとファンシーかわいい系で。でも日本のお正月、「迎春」の行書体とバックの花柄で和テイストはバッチリ演出・・・。結果、ゴッタ煮コテコテ状態になるのは当然なわけで、そうです、年賀状はこうやっていろんな要素を載せすぎているんです!で、結局一体何がメインなのか?よく判らなくなっている。
でも、これが許されるのが日本のお正月。コテコテだって何だって、めでたけりゃそれで良し!お正月の演出に一役買っているし、それに作り手の人柄なんかもにじみ出て面白いいから、ままいいか・・・というわけで一年に一度ぐらい、年賀状に乗せて思う存分メッセージを吐き出すのもいいでしょう。
「年賀状は、贈り物だと思う。」というのは新生・日本郵政グループのコピー。その前にやっぱり、当たり前だけど“年賀状はメッセージだと思う。”
と、ここまで書いておきながら、僕は今年に限っては年賀状の心配をしなくていいことになりました。実は夏におばあちゃんが天寿を全うし「喪中」だから。それで今年は大晦日から冬休みにかけて年賀状を書くような状況から解放されるわけで、そう思うとホッとするような、いえ、さびしいような・・・。昨日からとても寒くて、ストーブをつけた途端に気分がぐっと年末に近づいたような気がしました。