わたし大好き

lo-tus2008-05-02

最近よく映画見てます。昨日はドキュメンタリーで『≒草間彌生 わたし大好き』。ピンクの“帽子”(写真)など、一度見たら忘れられないのが草間先生の風貌。しかし喋ったり動いたり絵を描いたりするお姿を見たのはこれが初めて。先生の創作のエネルギーの源を少しだけ垣間見ることができて楽しかったです。
草間先生ほど、外見と、発言と、生活と、作品との間にギャップのない人も珍しいのではないでしょうか。人はまず外見から内面を想像しますが、先生の場合はほとんど「≒(そのまま)」。外見と違わぬパワフル且つエキセントリックな方ですね。プラス、こんな言い方は失礼かもしれませんが、すごく「かわいい」一面もあったりして、ますますファンになりました。
最近はユニクロの草間Tシャツ(クサマッティ)が僕の周囲ではブレイクし、何人も愛用者がいたり・・・。1950年代から活躍されていて、今も人気アップしているのは、モダンアート界においては本当にスゴイことなのだと思います。老いてなおアーティスト兼ビジュアル系アイドルという感じ。なぜそんなことが先生には可能なのか?いろいろ考えさせられました。
まず一つには、草間先生の作品は、ある種ポップな「分かりやすさ」があります。トレードマークの水玉やカボチャや、細かい目や血管状のミニマルな模様など・・・別に意味は分からなくても、見た感じ「かわいい」とか「気持ち悪い」とか、誰の感覚にもストレートに訴える分かりやすさです。
また2つ目は、自己プロデュース能力。自由奔放に生きているようで、実は周囲や世界から「自分がどう見えているか」について、ものすごく気を配り、研究し、常に最高の自分を演出していらっしゃる。「自分は天才」「わたし大好き」と言う言葉通り、自分に対する絶対的な自信のなせる技かと思います。年をとられて、ますます確信に近づいたかと・・・。
そして3つ目がスタッフの愛です。映画の中では事務所のスタッフが登場しますが、本当に先生のことを理解して親身にサポートされているし、先生もスタッフに心から信頼を置いていらっしゃって、そこにはアットホームなプロ集団が存在します。何もこれはアートの世界だけじゃなくて、普段の自分たちの仕事においても言えることで、いい仕事をするためには良いスタッフは不可欠・・・これ定理。(そういう良いスタッフを引き寄せるのもその人の力量ですが)
草間先生が絵を描くのを見ていていると、子どもが画用紙に向かうように本当に楽しそうに熱中する姿が印象的でした。でも描くというより、どんどん勝手に手が動いている感じです。
ちなみに僕が何年か前に京都で見た個展では、鏡を使ったオブジェがいたく気に入りました。鏡の迷路とか、無限の光の部屋とか・・・。