(29)金魚鉢の中の寺

lo-tus2008-06-19

最近仕事etc.が忙しく、なかなかゆっくり京都散策をしている時間がないんです。こうなったら仕事の出先でなるべく楽しもうということで・・・。先日、あるCMの撮影で建仁寺ロケに行ってきました。近くまではよく行くけれど、中に入ったのは20年ぶりぐらい。今回久しぶりに行ってみて、建仁寺、見直しました!
一応説明すると・・・建仁寺は京都最古の禅寺で、大伽藍の中には素晴らしい建物や庭の数々があり、国宝・風神雷神図や天井画・双龍図なんかも有名。いわゆる「名刹」なんですが、今回僕が見直したのはそういう文化遺産的な価値じゃないんです、実は。何を見直したかって・・・それは、寺の空気。その空気が、実に「ゆるり〜」としてて気持ちよかったので。

由緒ある名刹にもかかわらず、建仁寺は拝観者に対してとても開放的。厳めしいところがなく、中は“CAMERA OK”、昼寝は自由(もちろん触っちゃいけない物もたくさんありますけど)。実際、苔むした庭に面した畳の大広間には熟睡する観光客もゴロゴロいて、うらやましくなりました。開け放たれた障子からは、初夏の心地よい光と風が通り抜け・・・。僕も仕事でなければ確実に昼寝していたことでしょう。

そして、テーブルの上にさりげなく置かれた金魚鉢(あの形状が基本的に好き。個人的にグッドデザイン賞あげたいです)。最初は意外な気もしたけれど、なかなか良いインテリアになっている。いや、それどころじゃない。見ているうちに気になって、その時その場にあるのが一番ふさわしいもの、この空間で一番美しく見えるものではないか!?とさえ思えてきました。このシーンの必然性にちょっと感嘆。ユラユラ金魚が泳ぐ鉢越しに、向こう側の庭や建物を見ると、水に歪んだ不思議な宇宙が見えました。
さあ、もうすぐ夏・・・。