自分に「？」

ボーナス時期が近づいて、新聞雑誌などではよく「ボーナスの使い道は？」といったコーナーを見かけます。すると決まって「自分にごほうび！」などと、旅行、グルメ、ジュエリー系の使い道を挙げるOLの方々がいらっしゃる。いやもうまったく、それはそれでうらやましいと思います。
しかし僕は、この「自分にごほうび」という言い回しがちょっと苦手。ぜんぜんピンとこない言葉なのです。確かにボーナスで、いつもより余分に収入が入ることは有り難いことには違いない。そして、これは本当に個人的な感覚なのですが、この収入の代価として一体自分はどんな仕事をしてきたか、どんな生活をしてきたか・・・という事について振り返って考えた時、本当に褒められるべき事をしてきたのか？世の中にとって良い事をしたのだろうか？・・・そういうことが分からなくなるのです。
だいたいこの歳になると誰も褒めてくれませんし、べつに褒められることも期待しない。「自分にごほうび」というからには自分で褒めなければならないのですが、しかし自分の褒め方がわからない（まったく不器用な人と言われればそれまでなのですが）。そうしていつも僕のお腹には「？」マークがひとつ貼り付いていて、「？」は肯定でも否定でもない、「有るがまま」に有るということです。
ま、もっともそれ以前に、自分の場合は家庭の諸事情によりボーナスの使い道を考える余裕などなく、あらかじめその分配先がほぼ決まっちゃってるという、塩辛い現実があるわけなんですがねえ（同世代の人、きっとあなたもそうでしょ？）。ハイ塩辛くて結構、冷酒の肴にイカの塩辛。旨い酒がお腹の「？」に染み入ったならば、小さな祝杯の中でバッカスの神様が何やら「ごほうび」を用意していてくれるかも知れないな。