大阪お好みトリップ

lo-tus2009-10-14

さて、Perfume大坂城ホールを後にして、小腹も空いていたのでとりあえずどこか店に入ることに。せっかく大阪に来たので、Kさんの提案で美味いお好み焼きでも食おうということになりました。向かったのは南森町の「甚六」。長い長い天神橋筋商店街を歩いていると、なかなかいい感じのアーケイドです。天井にはジャンボ鳥居が吊り下げられて連なっています。有り難いといえば有り難い、キッチュといえばキッチュな鳥居群。こういう「分かりやすさ」こそ大阪なのだと、あらためて認識したのでした。
まだ頭を巡っているPerfumeの鼻歌まじりに到着し、生ビール、ブタ玉、焼きそばなどを注文。店は昔ながらの大阪のお好み焼きやさんといった風情。すぐに満員になりそうな、年季の入った狭いお店です。レーザー光線が走るきらびやかな大舞台から一転、ソースの熱気がこもる狭小空間に移り(「ハレ」から「ケ」へ。例えるなら紅白のあとの「行く年来る年」のような落差)、やっと気持ちが落ち着いた気がしました。
大将が丁寧に焼いてくれた、ほぼ正円のブタ玉を食べると・・・これが本当に美味しかった。中身の具がフワッとしているのも自分の好みのスタイル。
僕の左側に座ったKさんに「これ、うまいですねぇ〜」と声をかけると、なぜか逆サイド(右側)から「あぁ、ホンマにおいしいなあ・・・」と突然誰かの声が! 驚いて振り返ると、1人で来店したいたおばあさん(ミヤコ蝶々さん風?)が、僕に同意を求めているではありませんか?この人に話しかけたつもりはまったく無かったのに・・・不意打ちに戸惑いつつ「へ?いや、あの。ああ、ホントにうまいですよね」と、とりあえず相づちを打つ。するとそれを聞いているのか聞いていないのかよく分からないような恍惚とした表情で、そのおばあさんは、しみじみとお好み焼きを味わっていらっしゃる様子。「???」。この時点で僕は、完全におばあさんに置き去りをくったわけですが、ああ、こういう「垣根の無い対話」こそが大阪なのだと、またあらためて認識したのでした。
甚六さんでもう一つ面白かったのが店内のBGM。賛美歌や古い唱歌、例えば「四季の歌」など、心洗われるような歌声がずっと鳴り響いているのです。あれは有線チャンネルでしょうか?大将のチョイスでしょうか?謎ですが、自分がまだ今よりもピュアだった昭和時代にタイムスリップしたみたいな感覚に陥り、お好み焼きを前に(本来は十字架ね)「神様、今まで俺が悪かった・・・」と、思わず懺悔しそうになったのは言うまでもありません。こういう「時空を超えたシチュエーション」もまた大阪なのだと・・・あ、もういいって?
店には有名人も来られるらしく、坂本教授も写真におさまっていました。とにかく若いので、これYMOの頃でしょうか?そう言えばYMOPerfumeと同じ3人組。テクノユニットでアルバム1位を獲得したのはこの2組だけという共通点もありました。
そんなことを考えながら甚六のお好み焼きをコテで割ったとき、ひらめいたのです。Perfumeは食べ物で例えるなら、お好み焼きだと悟ったのです。そのココロは・・・外はカリカリ、中身はフワフワ。すなわち緻密なプロダクションワークと、等身大の3人のキャラクターの対比。そう言えば彼女たちの出身地・広島もお好み焼きは名物でしたね。これからも庶民に愛されるアイドルとして活躍してほしいものです。鉄板はまだまだ熱い。