直角二等辺三角形

lo-tus2009-10-13

以前友人・Kさんと、Perfumeについて、どこが面白いとか、どこが新しいとか、いろいろと議論して盛り上がった勢いで、それじゃあ一度ライブを見に行こうじゃないかということになって首尾よくチケットを入手。一昨日になりますが、大阪城ホールまで行ってきました。オジサン二人連れ立ってアイドルを見に行くなど、思ってもみなかった体験です。それに、こんなに売れているグループのライブを見に行くこと自体、自分史上かなり稀。まず巨大なホールいっぱいに埋まった人の多さに面食らいました。客層は意外とバラエティーに富んでいます。男女半々ぐらいだったと思います。Perfume中田ヤスタカさんのコスプレ(?)らしき人にも何組か出会い、Away感を浴びながらもひとまず席にたどり着きました。
そして始まりました。当たり前ですけど本物のPerfumeが登場。席は遠かったけれど、テレビで見るより立体感や空間の広がりが体感できて良かったです。開演から延々3時間。今まで体験したことが無かったようなライブでした。いやー、ガンガン楽しませてもらいました。踊らされました。で、今、少し冷静になって(既にいろんなところで語られているとは思いますが)あらためておさらいします。
●「ライブ」と「ディスコ」の融合
Perfumeのライブは、誰か超絶プレーヤーが演奏するわけでもないし、本人たちだって実際歌ってすらいない。歌詞は聞こえ辛いし、フリは難易度が高すぎる。にもかかわらずあの一体感は何だ??はやり機械によって生み出される重低音・大音量のテクノビート(ビリビリ自分の服や皮膚が震えているのが分かりました)と、エフェクトのかかった歌声の気持ちよさに、トランスするみたいです。ライブ=生演奏という図式を尊重するならば、Perfumeの場合ライブはダンスだけ。だからライブと言うよりも「進化したディスコ」と言うべきか。
アバンギャルドなダンス
演劇出身のKさんの見解では、例えば「edge」という曲などは、ピナバウシュなどドイツ表現主義の前衛ダンス直系だとのこと。確かに日常の仕草からそのままダンスに入っていくところとか、途中で体育座りしてストップするフリなど、初めて見た時はかなり衝撃を受けしました。アイドルの掟を破る身体表現が挑発的です。
レトロフューチャーな音
楽曲、サウンドの作り込みは素晴らしい。単調になりがちなテクノビートだけれど、変化と起伏が豊かなので、飽きることがありませんね。またせつない感じのコード感、メロディーもグッとくるものがあります。多分80年代中ごろのテクノポップ愛好者なら懐かしささえ感じるはず。途中「ジェニーはご機嫌ななめ」をカバーするあたり、確信犯だな・・・。
●複合プロダクト
Perfumeは3人だけじゃなくて、音楽、ダンス、CG、照明、その他周辺のアートワークも含めて、全てが高いクオリティーで結びついた「複合プロダクト」。クリエーター(or オタク?)を刺激するような要素がたくさんあって、あの3人の「キャラクター」の背後で、裏方として仕事をすることが楽しそうなプロジェクトだなと、そばから眺めて想像します。
●謙虚にサクセス
若いアーティストやアイドルは、苦労を表に出すことを「ダサい」こととして普通隠すものですが、Perfumeの場合はそれを隠しません。そして必ず、「ありがとうございます!」ときっちり礼儀正しく、演歌歌手以上に深々と長いお辞儀をします。またビッグネームになっても、ゆる〜い広島弁トークで観客とのコミュニケーションの時間をたっぷり取るし、するとそこにいるのがスターではなくて、普通の女の子のような感覚になるのですね。決して天才ではないごく普通の子が、努力によってミラクルを起こした・・・そういう等身大のストレートなサクセス物語も、共感の素かなと思いました。

会場を後にした帰り道、P.T.A(ファンクラブ)の勧誘をやってました。
Kさん:「lo-tusさん、P.T.A入ってよ。次回ライブのチケット取ってもらうし」
lo-tus:「い、いや、僕は別にいいですよ。そう言うKさんこそ、この機会にぜひ入らなきゃ・・・」
というわけで、譲り合ったまま素通り。若い頃のように何かを追いかける情熱をなかなか持続できないオジサン二人は、煮えキレない想いを胸にそのまま飲み屋さんに直行したのでした。・・・(つづく)