芸能人

lo-tus2009-11-20

11月も後半になって、年末年始の話題が増えてきましたが、ひとつさびしいなと思ったのが正月恒例の「新春かくし芸大会」が来年で最終回なんですってね。近ごろはあまりちゃんと見ていなかったものの、小学生の時分は毎年楽しみにテレビにかじりついていた記憶があります。
近ごろのテレビ業界は、まったく「芸」のない芸能人が、なぜか「芸能人」として通用しているような理不尽な状況が久しく続いていて、その芸能人の基準といえば「リアクションの面白さ」だけ。見てもどうということのないバラエティ番組が大半なので、テレビに対する興味は年々薄れていくばかりでした。
そんな中で「新春かくし芸大会」は、珍しく芸能人の「芸」が披露される番組です。売れている歌手・タレントさんなどが実に達者な芸を披露すると、「忙しいだろうに、いつの間に練習したんだろうか?」とか「本業の歌よりもよっぽど上手いじゃない?」などと感心することもあって、そんな体当たりの「芸人魂」には、文句なく拍手を送りたくなりました。
新春かくし芸大会」が終わる理由は、タレントさんの調整がつきにくくなったからか?、内容のマンネリ化か・・・?、その辺の事情は僕にはよく分かりません。しかし言えるのは「極めつけの芸は必ずマンネリ」という真理。ある「芸」を極めた人は、鍛え抜いた末にひとつのスタイルに達する・・・そのスタイルがすなわちマンネリと呼ばれるもので、何度同じことをやってもやはり「スゴイ!」と思わせるパワーを備えるようになるのだと思っています。
それは「かくし芸大会」とは別に、正月にしかお目にかかれないお笑い、曲芸、マジックなどなどの名人芸を持つ芸人さんたちを見ても分かります。その芸人さんたちのやることは、ほぼマンネリなんだけど、それでも人を惹きつける。日頃テレビを賑わせている「似非芸人」よりも、ずっと芸のレベルが高い・・・そんな優れた芸能人が1年に2〜3日しかテレビに乗らず、その他の人が残る360日のテレビを埋めているという倒錯した状況は、やはり今のテレビが「マンネリ」を許さないからでしょうか?
それはともかく「新春かくし芸大会」の歴史の中で僕が最もリスペクトするのは、ミスター堺正章さんでも中山秀征さんでもありません。そりゃ何といっても、銅像としてマンネリ芸の頂点を極めたハナ肇さんでしょ。水をかけられ、パイを投げられ・・・。何も言わずに微妙な表情だけで、あれ以上可笑しい受け身ができる人はいないでしょう。ホントに存在感のある「芸能人」でした。