サロン・ド・キノコ祇園編

lo-tus2010-02-07

今、一部で話題沸騰(?)のガールズバンド、キノコホテルを磔磔で見てきました。作風はグループサウンズ昭和歌謡をガレージサイケ風味で炒めて、バッと火柱を立たせた感じ。隠し味にはスインギン・ロンドン、ドアーズ風。全員伝統的な横文字交じりのメンバー名と、さらに「ホテル従業員」というキャラクターづくりもそのまま明快。しかし単なるキワモノバンドだったとしたらまったく興味は沸かなかったのですが、試しに聴いてみたら演奏力、サウンドがなかなかしっかりとしているので引き込まれてしまいました。いや、キノコ中毒といったほうが正しいでしょうか?電気オルガンやファズったギターが暴走するヘビー&ファンキーなサウンドなど、見た目とのギャップが面白い。ライブはさらにパワフルで、昨日の磔磔でもテーブルに上がるはオルガンを胯ぐは・・・大いに盛り上がり楽しい「実演会」でした。
それにしてもホテル支配人であり作詞・作曲・ボーカルを手がけるマリアンヌ東雲さん。じっと歌声を聴いていると、往年の何人もの歌謡シンガーの歌声をミックスしたような、不思議な魔力のあるボーカルです。クールかつ艶めかしく。時々奥村チヨだったり、木の実ナナだったり、金井克子だったり・・・本当にこの人、いつの時代の人物なのかよく分からなくなってきます。不謹慎な言動が問題視され、きっと時空警察に指名手配されているのではないでしょうか?
このバンドを聞いて真っ先に思い出したのが、映画「狂わせたいの」や「キュピキュピ」のプロジェクトをやっていた京都のアーティスト・石橋義正さん的な世界(オー・マイキーでも有名)。昭和の香り漂うスタイリッシュな場末感は、最初石橋氏の新プロジェクトかと思ったほどです。
昭和歌謡」というのは過去の音楽ですが、時代を経て固定の1ジャンルとしての地位を築いた感があります。たとえば50〜60年代のジャズを「モダンジャズ」と呼んだりするのと同じように。今もフォロワーが絶えないということは・・・なんでしょう?我々日本人にとって抗いがたい、秘密のドラッグが音楽の中に含まれているのかもしれません。それが意外と同時代にあったサイケロックと親和性が高かった、ということが今回の発見。