男心音楽講座(2)〜秋の夜更けはセツセツと〜

秋たけなわ、皆様ご機嫌いかがでしょうか?非常勤講師のlo-tusです。
さて、いろんな音が冴える秋の夜更け。あなたのお部屋に今夜もいい音、鳴ってますか?昔のレコードの復習、これから来そうな音楽の予習は、ぜひ欠かさないようにしましょう。ローマは一日にしてならず!一日一日の積み重ねが大切です。
今日は、すっかり恒例(??)秋の特別講座・男性ヴォーカル専攻第2時限目。
男性ヴォーカルと言っても、学会ではいろんな分類がなされているようですが、今年のテーマは「セツセツ」です。シャウトもしないし、シブくもない。ストレートに胸にくるソングライター三人三様・・・。

Robert Wyatt「Nothing Can Stop Us」
ロバート・ワイアットの声を「世界で一番悲しい声」あるいは「英国の深い霧」と評した人がいました。私なりに言い換えると、「柔らかい綿の中に鋭い刃物を隠しているような声」・・・というのが一番分かりやすいでしょうか(???)。特に深夜に「Round Midnight」なんて聴いた日には、その場から動けなくなるぐらいの効果があります。プログレジャズロックなどを消化した、ユニークな音楽世界はMagicalですし、地味ながら大抵の人がリスペクトする「ミュージシャンズ・ミュージシャン」といえばこの人のこと。


Nick Drake「Bryter Layter」
さて、この人を色にたとえましょう。はい、分かる人?
 ―――微妙にカラフルなモノトーン?
正解!
早く亡くなられたせいもあって、この人得意のギター1本の弾き語りが神格化されていますが、ソフトロックテイストで微妙にカラフルなこのアルバムもぜひ押さえておきたいところです。必ずしも本人の意図通りにできたアルバムではない・・・にもかかわらず、やっぱりワン&オンリーな出来栄え。消え入りそうな声は風に舞う枯れ葉のようです。Nick Drakeを聴いたら、そっとポケットにしまっておきましょう。そんな音楽です。


Yukihiro Takahashi「Saravah!」
日本からはこの人。このアルバムの味わい深さが分かるまで、私は15年ぐらいかかりました。テクノ以前、すごく若い頃の作品なのに、この大人のエレガント、このヨーロッパ指向!そして、この老け方はやはりロック界の笠智衆。日本人男性にはなかなかいないタイプですね。とことん品のいいポップスに仕上がってます。坂本さんのアレンジが秀逸ですし、バックの演奏もクォリティ高いです。歌い方が寺尾聰ルビーの指輪」みたいだったり、ジャケット写真の目が赤目で光っていたり、ま、どうでもいいことなんですけど一応予備知識としてメモしておきましょう。

あ、もう時間だ。今日はここまで。