CM Lounge

lo-tus2006-11-08


LPは長編ストーリー、シングルは3分間のPop Magic。そしてさらに短くて、一瞬のきらめきにかけた音楽があります。それはCM音楽。15秒、30秒、1分足らずという短い尺の中で表現を極める感性は、俳句の世界に近いかもしれませんね。
そんなCM音楽は制約が多そうに見えながら、実は結構自由な音楽ではないかと思っています。なぜなら、音楽自体は売れる必要がないから。つまらないヒットソングのような商業ベースの音作りからは一歩引いた姿勢で作れるからです。もちろん全く自由というわけではなくて、宣伝商品のイメージを反映しなければならないわけですが、そんなイメージなんて作曲家個人のイマジネーションによってどうにでも変わるしね・・・。制約の中で自由に遊べるというおもしろい世界です。
例えば、最近盛り上がっていた「たらこキューピー」のあの曲。(上野耕路さん、いい仕事してます)あれも単独で普通のヒット曲と同じ売り方をしていたなら、決して売れるタイプの曲ではなかったのですが、あのCM映像との相乗効果で、独自の世界をクリエイトし思わぬ反響を呼びました。
あるいは、映画のサウンドトラックに近いとも思います。主役にはならず、決して主張しすぎない音楽?そんな中庸なスタンスだからこそおもしろいと・・・。

で、いい加減そろそろ今日の本題に入りますと・・・、最近の“Now Playing”、お気に入りのレコードが『Music for Biscuits』 。イギリスのソフトコーラスグループMIKE SAMMES SINGERSが手掛けた、60〜70年代のCM曲やサントラ曲をまとめた小品集です。全てが数十秒、長くても2分程度の44曲で、Jazz、Bossaテイストの美麗コーラスワークがカ・イ・カ・ン。「VESPA」や「HAI NEKEN」の曲もあって、ほんっとに楽しいレコードでした。
あの頃のCM音楽は、独特の空気がありますね。まだモノがたくさんあふれていない時代。「さあ、コレ買ってね!」という強引な購買意欲喚起ではなくて、「いっしょに未来へ行きましょ」的な、おおらかで夢見心地な軽やかさがある。それを今聴くとファーストクラスのLounge Musicに聴こえます。そもそもCM音楽は、主張しすぎない音、お茶の間をつつむ音ということで既にLounge的ですが。

ここのところ、シリアスな音楽よりもフワフワ軽い音楽のほうを耳が向いているみたいです。多分そんな時期なのです。
また、ほとんどテレビを見ない生活が続いている今日この頃。なので近ごろのCM事情には疎いです。「あのCM曲いいヨ!」なんていうネタがありましたら、皆様またご一報を・・・。