品格アレルギー

lo-tus2007-12-27


去年のベストセラー『国家の品格』に続いて、今年のベストセラーは『女性の品格』。相変わらず出版界では品格ブームの様相。試しにアマゾンで和書→品格で検索してみると、もっとたくさんの品格本が出てきました。『男の品格』とか『トヨタの品格』とか・・・。中には『子供の品格』なんてのもあって、それ一体どんな品格 やねん!?とちょっとツッコミたくなります。
それから今年はミシュランガイド東京が発売されて話題になりましたが、レストランを格付けするわけだから、あれも一種の品格本。さらに「KY=空気読めない」も品格ブームから出てきた言葉だと僕は考えています。その場にふさわしい行動をとれないという、やはりそういう態度(≒品格)を表現した言葉なので。
こうして見ると、今の世の中品格だらけ。ということは逆にみんなに品格が欠けていて、それを求めているからこのような本が売れるのかなと思います。食品偽装をした会社や、バッシングを受けた力士やボクサーや新進女優など、品格を落としてしまった人は確かに多かった。何かこう、秩序がガタガタになってきたので、古い日本の文化に「行動マニュアル」を求めにいっているのかもしれませんね。
しかしそんなブームにも関わらず、僕はそういった品格本を1冊も読んだ事がありません。読まず嫌いなのかもしれません。どうもその「品格」という言葉自体にアレルギーを持っているみたいです。実体がなくて我が国でしか通用しないような「品」や「格」というものにとらわれて、人やモノをランクづけすることに、居心地の悪さを感じるのでありました。権威主義的かつマニュアル的で、まあちょっと簡単に言うと、窮屈な感じがして馴染めなかったりするんです。

今年のベストセラー『女性の品格』によると、例えば「礼状が書ける」「約束をきちんと守る」「型どおりの挨拶ができる」「姿勢を正しく保つ」「贅肉をつけない」「人に擦り寄らない」「よいことは隠れてする」「得意料理をもつ」「恋をすぐに打ち明けない」などが品格のある女性だとされているそうです(←このあたり、品格というよりもファッション誌の「デキる女度チェック」みたい)。これらのことが全て完璧こなせる女性は、すごく礼儀正しい方だとは思います。しかしその人が魅力的な人であるかどうかはまた別の話。ミシュランガイドで評価の高い店は、すごく行き届いたお店かもしれないけれど、それが自分にとって本当にくつろげる店かどうかというと、それもまた別の話。
いろんな品格本を参考にするのは大いに結構だと思いますが、それをただ信じて「行動マニュアル」にまでしてしまうところに果たして「品格」はあるか?時と場合によってはそれこそ「KY」でしょ?そもそも品格なんて曖昧なものを本で学べるか?
まあ堅いことを言わず臨機応変に、その場で良いことと悪いことをきちんと自分で考えて、清く正しく美しい行動がとれるような人になれるといいなー・・・と、これは他人事ではなくて、自分の理想・・・