What The World Needs Now Is Love

lo-tus2008-02-23


信じがたい光景でした。若者が集うロックコンサートならともかく、昨夜、大阪フェスティバルホールいっぱいの観客を熱狂の渦に変えたのは、なんと79歳のナイスガイ。バート・バカラック
このコンサートは前から期待していて、目の前にバカラック師匠がいて(ちょっと席は遠いけど)演奏してくれるだけで感謝、大人っぽい落ち着いたコンサートになるだろうと予想してました。ところがそれだけじゃ終わらなかった。バカラック師(ピアノ)と彼のバンド、シンガー、そしてフルオーケストラが奏でるダイナミックな音とグルーブに完全ノックアウト。やっぱりあのメロディー、アレンジはマジックだと思い知る。こんなに熱狂したのは何年ぶりだろ?「Walk On By」「I Say A Little Prayer」そして「Close To You」などなど名曲数珠つなぎで、もう涙が止まりません。「Look Of Love」の途中で、バカラック師本人が、ピアノを弾きながら少しかすれた声で歌い出した時はゾクッと鳥肌は立つし・・・(そして歓声、拍手)。コンサートが終わった後しばらく放心状態で、「良かった、良かった!」のほかになんにも言えなくなってしまった僕でした。
演奏時間は2時間を超えていました。その間「良い曲」が尽きることなくメドレーで出てきます。普通の作曲家は「代表曲」が数曲あるものですが、バカラック師の場合は代表曲が軽く50は超えているんじゃないだろうか?これに匹敵するのは、多分レノン&マッカートニーぐらいのもの。ビートルズを見ることはもうできないけれど、バカラック師は現役。贅沢させてもらいました。
さて、この日はオープニングと、アンコール前のエンディングが同じ曲。これも大好きな「What The World Needs Now Is Love」のショートアレンジバージョンでした。実は最新アルバム「At This Time」でバカラック師は自ら歌い、その歌詞に最近の母国への痛烈なメッセージを込めていました(もう黙っていられなかったんでしょうね)。今とてもギスギスした国になってしまったアメリカこそ、彼の音楽を最も必要としているのではないかと思います。そういう意味で「What The World Needs Now Is Love」のメッセージ、グッと胸に伝わりました。

彼の長いキャリアの中で生まれた楽曲の数々を聴くと、ポップソングの道を究めているし、それは本当にいつ聴いても古くない。
「もしかしてバカラック師のメロディーは、音楽の神様の鼻歌を書き写したものじゃないだろうか?」
・・・そう思って外に出ると、フェスティバルホールの壁には、ギリシャ神話に登場する音楽好きの牧神パンをモチーフにしたレリーフがあります。やっぱり来てたんだな。

What The World Needs Now Is Love !