Great Journey

lo-tus2008-03-27


先日放送されていた「フィールドへ!異文化の知を拓く〜国立民族学博物館の30年〜」という番組が、なかなかおもしろかったです。大阪・万博公園にあるこの博物館。略して「みんぱく」。もう一度元に戻すと、僕の中では「みんぱく→みんなの博物館」に変容します。

みんぱくには何度も行ってますけど、展示物がほんっとに面白くて・・・、あそこだけは興味が尽きないし、いつも新しい発見がある。まあ世界は広いのです。
普通は世界を旅しなければ見られないような各国の民族グッズや資料等がいっぺんに視野に入るのですから、考えてみれば超現実的な空間です。みんぱくに国境無し。大陸間横断自由。南極からスタートしてアラブ経由で南米へ・・・、そんなフリーダム&アナーキーな旅だってできちゃうんだから。
さてさてその番組の話ですが、みんぱくや日本における「民族学文化人類学」の30年の歩みが、教授や関係者のインタビューによって明らかに。そもそもみんぱくは、大阪万博のプロデューサーでもあった岡本太郎先生の発案だったそうですね。そう言えば、そばにある太陽の搭なんてモダンオブジェでありながら、すごく土着的な臭いもして、世界の民族アートに通底するものがある。太郎先生は若い頃民族学を学ばれたそうで、世界の民族が生み出した色や形にムラムラと美的感性を燃やし、「バクハツ」のエネルギーを蓄えていたのでしょうね。

登場した教授たちは、それぞれ専門の地域、研究テーマがあって多彩なのですが、でも一貫しているのは、現地の人と寝食を共に、五感をフル活用して研究をする「フィールドワーク」を重視しているところ。この学問、知的興味だけでは絶対にできません。世界のどこへ行っても生きていけるだけの強靱な体力と適応力(もしかしてゴキブリ並み?)を持ってないと務まりませんね。いろんな危険に身をさらすこともあるわけだから、それこそ「命がけのウルルン滞在記」でしょ。一応「教授」という肩書きはついているものの、先生方の本当の職業は「冒険家」じゃないかとさえ思います。そんな経験が顔に出るのか?教授たちの表情はなんとなく日本人離れしています。いろんな文化に触れると「マルチ民族フェイス」になっていくのかしらと感心。実は密かに憧れてます。

ある教授が研究の基本姿勢としておっしゃていた言葉がとても印象的でした。
 「他者を理解することは、共感することではなく、
  他者との差異を見つけること、そして寛容になることだ」
これは民族研究の心得というよりも、この世界で生きる上での哲学だと思う。素晴らしい言葉。
もし世界中の人にこれができたなら、戦争は無くなるでしょうね。

さて、こうして世界の文化を見比べてみると違うところもあるけれど似てるところもある(個別性と普遍性)。やはり何か、世界の文化には共通の地下水脈があるような気がしています。その地域の風土によって表現方法が違ってくるだけで・・・。みんぱくを彷徨っていると、もう少しでその「人類共通の秘密」が解けそうになる・・・そんなワクワク感がたまりません。