せんとくん

lo-tus2008-04-22


平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターの名前が「せんとくん」に落ち着いたそうです。仏様に似た童子に、神の使いとされる奈良公園の鹿の角をつけた姿が論議を呼び(神仏習合!?)、名前がつく以前に莫大な広告効果をもたらせたスーパーキャラ。なのに「違和感がある」とか「仏様の頭に角を生やし、侮辱している!」などなど評判がよろしくなくて、市民有志が独自のキャラクター公募に乗り出したということで、なんだか内戦?仁義なき戦いの様相を帯びてきました。
せんとくん」の姿をみると、確かにちょっと「かわいい」と言い切れない微妙なところがあって・・・、しかし僕はかわいいものに感情移入できないほうだし、どちらかというとシュール好みなので・・・。と考えると、良い悪いの判断ができかねます。単に「かわいいキャラ」なら、普段ぜんぜん無視してしまうのに、せんとくんにはやはり異質なものを感じるからこそ、こうして考えてしまうわけで・・・。ちなみに僕は、せんとくんが寝仏みたいに寝そべっている図が良いと思います。下界の人間の騒動を、おちょくっているかのような余裕シャクシャクの態度。実はSaintくんか?
仏様も鹿も奈良のイメージとしては最大公約数。まったく王道を行ってます。事実、僕が小学校の修学旅行で初めて奈良を訪れた時の印象とぴったり重なってます。だからせんとくんは、これ以上ないほど奈良を背負っていて、いたいけな童子にはちょっと荷が重すぎるのではないかしらと、内心かわいそうになっちゃうぐらい・・・。仏様か鹿か、どっちか1つにしときゃ今ごろ「かわいいキャラ」として平穏な日々を過ごせたのかもしれません。しかしせんとくんには、奈良をPRしなければならないという重責があって、2つのイメージを背負わされたところに、苦悩の人生が始まったのではないでしょうか?
しかし、キャラクター戦略に正解なんてありません。かわいいとかかわいくないとか、まったく個人の好き嫌いだけの主観的な意見でしかありませんから。つまり誰の言うことも正しいし、誰の言うことも正しくない。奈良県民、日本国民全員に受け入れられるようなキャラクターなんてあり得ないですから、もっと気楽に見てあげたいです。奈良の魅力というのはのんびりピースフルなところなのて、争いは似合いません。1300年行事を盛り上げたいというのは分かりますけど、いつまでもブラブラゆるーい散策ができる場所であってほしいと、個人的には願ってます。
もっとも奈良には、それこそ1300年も前から立派なキャラクターがいっぱいいらっしゃるではないですか?そうです、仏教界を代表する最強のキャラクター(化身)、「仏像」というお姿をした仏様たちが。そこかしこに複数のキャラクターが、穏やかな笑みを浮かべて仲良く共存してます。