思いやりのある生活

lo-tus2008-06-09


最近の読書から。ダライ・ラマ十四世『思いやりのある生活』。
「思いやり」と言うのは容易いけれど、これを実践することがいかに難しいか・・・。

仏教思想で面白いのは、すべてのものは多様な原因と条件が絡み合って引き起こされる相互依存的なものである・・・という考え方。万物は相対的。本質は、そこにとどまり続ける実体などは何もない、「空」ということ。

「幸せ」の反対が「苦しみ」と思いがちだけれど、これらは個別に沸き起こるものではなく、苦しみの原因は幸せだったり、幸せは苦しみの結果だったり。

あらためて「思いやり」を考えると、自分の幸せを願うことでは勿論ない。誰かの幸せを願うだけでもまだ足りない。世界が、相互依存的につながっているとするならば、万物の平和を思いやること・・・。完全な調和の状態を。

詰まる所、これは自分との戦いである。仏教の世界では8万4000種類もあると言われる、自分の中の欲、怒り、憎悪などの否定的な感情を取り除いていかなければならない。「思いやり」の邪魔をする灰色の雲を封じ込め、何からも解き放たれた青空を見るために。

ある時ダライ・ラマ十四世は「幸せとは何ですか?あなたはいつが一番幸せでしたか?」という質問を受けた。彼の答えは、「Right Now !」(たった今だよ!)。これ以上Happyな答えはないと思う。