マンガの神様(1)

lo-tus2009-02-13

BS20周年企画ということで、最近NHKでは手塚治虫さんの特集を連日やってまして、僕はそれをビデオに録ってかなり熱心に見ている今日この頃です。どの分野においても、突出してスゴイ人というのはいるものですが、マンガ界ならもちろんこの人。番組でそのお仕事ぶりを振り返ると「マンガの神様」というニックネームが、自然に納得できてしまう。神様が手塚さんの体を借りて、たまたま人間の姿をしているだけ。およそ60年の生涯で700タイトル以上あるマンガの遺産を見ると、とても一人の人間の仕事とは思えなくて、まさに「神業」なのです。
一連の特集の中で特に面白かったのは、70〜80年代のドキュメンタリーアーカイブたち。86年の『手塚治虫・創作の秘密』では、家族でさえ滅多に入室を許されなかった「秘密の仕事場」にカメラが潜入し、マンガが生まれる瞬間や締切に追われまくる手塚さんの徹夜風景が記録されていたり。また79年の『私の自叙伝』では、手塚さんがただ一人カメラに向って30分、自分の人生を語り続けたり。「よくこんな映像を撮らせてもらえたなあ」と、当時のNHKスタッフの方々の企画力に凄みすら感じました。でもあんな取材をOKした手塚さんも手塚さん、やはり神様です。天真爛漫なイメージのある手塚さんですが、アイディアをひねる苦悩の表情や、編集者に締切延期を懇願する時の弱り切ったトーンなど、こんなプライベートなシーンを見ていいんだろうか?と、こっちが申し訳ない気持ちになるほどでした。

“アニメというのはアニミズム。絵が生きているように「いのち」を与えること。”
“僕が描きたいのはエロスであって、エロスというのは狭い意味じゃなくて、人にも虫にも、全てのものに宿っている「いのち」の躍動のようなもの・・・”
                     手塚治虫

子供の頃、ブラックジャックジャングル大帝も好きでした。でも手塚マンガは大人になってから読み直すと二度美味しいです。決して古くならない内容だから。それに、登場人物も絶対的な善玉・悪玉という二元論的な分類ができないところも魅力です。