マンガの神様(2)

漫画家って、僕の中ではステレオタイプなイメージがあります。「先生」と呼ばれる割には、狭苦しい部屋で絵を描いて、カップラーメンで生き延びてお風呂も入らず徹夜続き。原稿催促に泊まり込む編集者を如何に撒いてしまうかが目下の課題で・・・。多分こういうイメージを創り上げたのは、トキワ荘出身の大先生方でしょう。一連の特集番組の中でもたくさん登場しましたが、手塚さんに限らず(赤塚さん、藤子さんたち etc.)、日本のマンガのイノベーター達は、みんな一様に僕のステレオタイプに違わぬ、全身漫画家です。メジャーになっても決してお金持ちには見えないところが素敵です。お金や名誉などマンガの対極にあるようなもんだと執着せず、いつまでもハングリーに空想世界を追っていらっしゃる。日本の漫画家というのは、世界規模で見ても、とても珍しい人種ではないかと思うのです。とにかく、食べることや寝ることや恋をすることよりもマンガが好き。でなきゃ続けられない仕事というのは確か。マンガの神様に魅入られた人たちが命を削って紡ぎ上げる、地獄の商売とも言えそうです。
これほどまでにみんなを(描く側も読む側も)熱狂させるマンガというメディアの熱気・・・、その正体って一体なんだろう?手塚治虫先生の言うところの「エロス」のなせる業か?とにかくそれは、幻のチョウを追いかけて野山を駆ける少年の如き熱病・・・。
子供の頃に影響を受けたマンガは、一生影響し続ける。少年少女の、一生の血となり肉となることができたなら、それが漫画家冥利というものでしょうか?絵の才能のない僕などは憧れようもありませんが・・・。
で、今久々に何か手塚作品を読み返したくなって、本棚で見つけたのがこれ。『ばるぼら』(右上の写真)。大人になってから読んで好きになった作品で、グチャグチャな展開がすごくクールです。