Okinawa Soul Music

lo-tus2009-09-03


登川誠仁さんほか沖縄民謡界の大御所たちのジョイントライブをテレビで観ました。演目は古典曲が中心。三線のゆったりしたテンポの曲が良いです。あの大らかで、楽しげでもあり悲しげでもある歌の数々は、寄せては返す海の波と同じテンポなのだと合点がいきます。

ところで何年か前に、その時も民謡特番のようなテレビ番組を見ていて驚いたことがあります。
レポーターが「民謡って知ってますか?」という質問を東京・渋谷のティーンエイジャーに投げかけたところ「いえ、それ何ですか?」とか「童謡とはまた違うんですよね??」などとトンチンカンな返事をしている。日本人にとって民謡とは既に半分死語か?と思いました。
ところが同じ質問を沖縄の若者に聞いたところ、まったく反応が違っていた。「民謡は島唄。自分たちの生活の歌、ソウルミュージックです!」とか「三線習って上手くなりたいです!」などと、まるでロックやポップスと並列感覚で、すこぶるポジティブに語っているではないですか。本土と沖縄の「民謡」に対する認識の差が端的に表れていたと思います。沖縄と音楽の関係をうらやましく思います。

さて、今回の誠仁さんなんかのライブを観ていると、老若男女を引きつける沖縄音楽の面白みがなんとなく分かってきます。そのポイントを挙げてみましょう
ゆるキャラ
これは誠仁さんご本人のことです。(もちろん良い意味ですから)あのような実績のある大御所でも、厳めしいところがなく実に気さくでフットワークが軽い。そのまま近所に居そうなオッチャンです。話すときの独特の「間」とか、ハズし方まで人間国宝クラス。「さわれる大御所」であることが、実は音楽的にも重要です。
●好き放題
民謡として基本的な決まりごとはあると思いますが、演奏者によってやり方がまったく違う。三線の弾き方、歌の節回しなど、人それぞれ結構好き放題、思いきり個性を出しています。自分流アレンジ可能ということでポップスの世界の「カバー」に近いかも。
●日常音楽
沖縄では歌が身近にありますよね。日常を題材にした歌が多いし、またその時の雰囲気で即興で歌詞が付けられたりする。たとえ古典曲の昔の歌詞であっても、どこか今でも理解できる普遍的な情感があったりします。そのへん、ニューオーリンズの街角でギターをかき鳴らすブルースマンにも近いものがあるなと思っていると、右上の写真の誠仁さん、まさにそんな風情でした。

まあいろいろ書きましたが、理屈は抜きにしても、沖縄の音楽は自由で楽しく、ロマンティックなところが大好きなのです。ああ、風通しのいい島へ行きたいなぁ・・・と、頭の斜め45度あたりの位置に、青い海を思い浮かべています。